椅子置き場

女性向けゲームアプリについての考察その他

ソシャゲ×クラウドファンディングの未来

こんにちは、椅子です。

この度、新たにゲームアプリのプロジェクトからクラウドファンディング立ち上げの発表があったので、今回はそのことについて考えてみます。

 

 

2020年6月5日、ゲーム『ヒーロー’sパーク』がクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げました(詳細につきましては下記リンク先をご参照ください)。

www.makuake.com

本プロジェクトは立ち上げから3日後の2020年6月12日に目標金額を達成し、既に大成功を収めております。

 

女性向けゲームアプリのクラウドファンディングといえば、『マジカルデイズ-TBP-』のメインストーリー小説化プロジェクトが記憶に新しいです。

www.makuake.com

こちらのプロジェクトが始まったとき、ぼくはクラウドファンディングとゲームアプリの相性について考察してみました(よろしければ本記事と併せてご覧ください)。

lovebrother.hatenablog.com

この記事でのぼくの結論としては、

クラウドファンディングはゲームアプリにおけるプロジェクト継続の新たな手段となり得るため、今後実施するタイトルが増えてくると思われる。
・信頼性を軽視した実施が多発すると逆にメインのゲームアプリごとプロジェクトの寿命を縮める可能性がある。

でした。

 

さて、実際に今回女性向けゲームアプリでクラウドファンディングが再び立ち上がりました(ぼくの知る限りなのでもし他にもあればご教示頂けますと幸いです)。

新たにクラウドファンディングに挑戦するタイトルが登場したことは、非常に喜ばしいことです。

しかし反面、やはりクラウドファンディングはゲームアプリ市場に対して非常に危険な存在ともなり得るとも思いました。

 

今回はそんな話を書きたいと思います。

 

初めに申し上げますが、本記事は特定の作品及び活動を批判するものではございません。

予めご了承頂きますようお願い致します。

 

 

誤用による危険性

危険な存在などと書きましたが、ぼくは基本的にはゲームアプリ発のプロジェクトがクラウドファンディングをすること自体にはとても賛成しています

以前の記事でも書きましたが、ゲームアプリ発のプロジェクトは今後コンテンツを多様化していく必要があると思われます(よろしければ本記事と併せてご覧ください)。

lovebrother.hatenablog.com

クラウドファンディング製作者と出資者の間で「なにがやりたいのか」「なにをやってほしいのか」を意思表示し合える場です。

これは、元々運営とユーザ間のコミュニケーションがあまり活発ではないゲームアプリ市場にとって、非常に強力な手助けとなるはずです。

 

ぼくが危険だと思っているのは、クラウドファンディングという新たなコミュニケーション手段は正しく利用しないと逆に信用を失うことになるという点です。

 

 

『ヒーロー’sパーク』コミカライズプロジェクトに思うこと

『ヒーロー’sパーク』のクラウドファンディングプロジェクトをみたとき、ぼくは大きく分けて2つの点が引っ掛かりました。

プロジェクトご担当者様に質問させて頂いたメールとあわせて、説明致します。

1.プロジェクトメイン成果物の曖昧さ

下記は、ぼくの質問メール(一部抜粋)です。

①「漫画の世界でより魅力的になったヒーローたち」について
  「ストーリー」や「プロジェクト概要」の項目に記載されている、「漫画ならではの魅力」とはどのような要素になりますでしょうか。
②「アプリではなかなか伝えきれずにいるこのヒロパの世界の魅力」について
  今回の漫画化プロジェクト以外にも、今後ゲーム以外のコンテンツでの展開は検討されておりますでしょうか。
④オリジナルコミックスについて
  本プロジェクトの成果物であるオリジナルコミックスについて、下記をご質問させて頂きます。
   2)オリジナルコミックスの最低ボリューム(冊数・ページ数)は、どのくらいを想定されておりますでしょうか。
   3)オリジナルコミックスの一般販売(プロジェクトのリターン以外での入手方法)はございますでしょうか(検討されておりますでしょうか)。
   4)3)で販売を検討されている場合、価格はどのくらいを想定されておりますでしょうか(最低ボリュームの場合)。
ご担当者様からのご回答につきましては、掲載許可を頂けなかったため割愛させて頂きます。
実際のところ、この質問の回答がどのようなものであるかはあまり重要ではありません。
そこはぼくが口出しすることではないです。
今回ぼくが気になったのは、これらの情報はプロジェクト概要として掲載しておくべきではないかという点です。
 
今回『ヒーロー’sパーク』が立ち上げたプロジェクトは、ゲーム『ヒーロー’sパーク』のコミカライズプロジェクトです。
しかし、ぼくはプロジェクトの説明を読んでもどのようなコミックスがリリースされるのか全く分かりませんでした
クラウドファンディングの本質であり最大のメリットは、提示された成果物に対して出資するかを検討できるという点です。
ゴールとなる商品が明確であるが故に、その商品に対して信頼が生まれます。
これは裏を返せば、何がやりたいのかを明確にしない限り商品に対する信頼は得られないということです。
今回のケースで言えば、

・どのような内容なのか(メインストーリー or 新規ストーリー,既存向け or 新規向け 等)

・どのくらいのボリュームなのか

などが記載されていない限り、コミックスという成果物に対する信頼性がありません。

商品に対する信頼性がないため、運営は『ヒーロー’sパーク』というブランドの信頼だけを切り崩して集金することになります。

ユーザ側も、今回のプロジェクトで運営が本当にやりたかったことが見えず、結局ブランドそのものを応援するだけになります。

 

これでは、本プロジェクトをクラウドファンディングとして実施した意味が薄くなってしまうのではないでしょうか。

 

 

2.リターンの位置づけ

下記は、またぼくの質問メール(一部抜粋)です。

③「クラウドファンディングだけの限定オリジナルグッズ」について
  こちらは「応援購入に対するリターン」のこと、という理解でよろしかったでしょうか。
言葉狩りかもしれませんが、「クラウドファンディングだけの限定オリジナルグッズ」という記載が気になりました。
前述の通り、クラウドファンディングの本質は提示された成果物に対する出資です。
つまり、メインの商品は成果物であり、出資のリターンはあくまで特典という位置づけです。
リターン商法は、決して違反ではありません。
しかしリターンがメインになってしまうと、それはただのグッズ通販と変わりません
さらに、クラウドファンディングは目標金額が設定されているため、実施者に既にある程度のファンがいると、そのファンはどうしても目標金額達成を目指す傾向があります。
リターン商法は商品の信頼性こそありますが、選択できる商品の幅が少なく、通常の買い物に比べて商品を選択する権利がありません。
つまり、極論ですがブランドを応援するためにあまり欲しくない商品を購入することになる可能性もあります。
これが繰り返されると、出資者はたちまち消耗してしまいます。
 
魅力的なリターンが用意されていることは出資者にとって嬉しいことですが、あくまでプロジェクトのメインは成果物であるべきだと考えます。

 

 

明るい未来のために

今回の件でぼくが言いたかったことは、ゲームアプリ市場の運営とユーザはクラウドファンディングの本質を理解するべきということです。

もちろんぼくも含めてです。

繰り返しになりますが、ゲームアプリ発のプロジェクトにとってクラウドファンディングは非常に重要な存在となってくるでしょう。

だからこそ、運営とユーザの双方共にその性質を理解するべきではないでしょうか

クラウドファンディングの恐ろしさは、誤った使い方をすればするほどどんどん信頼が失われるところです。

ブランドの信頼まで失われれば、メインコンテンツであるゲームアプリの死にも繋がりかねません

そうならないためにも、一ゲームアプリユーザとしてプロジェクトを正しく応援していきたいなと考える次第です。

 

 

例に挙げて色々書いてしまいましたが、『ヒーロー’sパーク』のコミカライズプロジェクト自体はぼくも応援しております。

目標金額達成は非常に喜ばしいことですし、何よりプロジェクト展開に新しい試みを導入されたことは本当に素晴らしいと思っています。

微額ですが、漫画を頂ける応援を購入させて頂きました。

完成がとても楽しみです。