椅子置き場

女性向けゲームアプリについての考察その他

女性向けゲームアプリの公式は作品を大切に思っているのか

こんにちは、椅子です。

今回は、女性向けゲームアプリにおける公式の感情について考えてみたいと思います。

 

女性向け(に限らずかもですが)ゲームアプリ界隈では、たまにこのような意見を耳にすることがあります。

「この公式はユーザの気持ちをわかってない!」

「作品を大切に思っていない!」

 

当たり前ですが、公式から「ユーザや作品を大切に思っていません」と発表されることは基本的にはありません。

それでも、このような話題はちょいちょい出てきます。

つまり、ぼくたちユーザは間接的な要因から公式の思いを推察しているということになります。

公式がユーザや作品を大切に思っていないという意見の理由としてよく挙げられるのは、「ユーザ離れが進んでいる」や「課金額が激減した」などでしょうか。

作品の運営状況が根拠とされる場合が多い印象です。

 

では、はたして『公式の感情』についてのこのユーザの考え方は正しいのでしょうか。

 

ぼくは、この考え方について少し懐疑的です。

もちろん、公式がユーザや作品を大切に思っていてくれているほうが嬉しい、というのはぼくも同じ気持ちです。

ただ、公式の感情とその作品の運営状況には直接の因果関係はないと思っています。

また、ここに因果関係があるとユーザが考えてしまうことは、作品の未来をよりネガティブなものにしてしまう可能性があるとも考えています。

 

というわけで今回は、ぼくたちユーザが公式の思いを推察している根拠を明確化し、それが正しいのか、またそれによって作品にどのような影響があるのかについて考えてみたいと思います。

毎度ながら、一ゲームアプリユーザの妄想としてお読み頂けますと幸いです。

 

 

『公式の感情』と『作品の運営状況』の関連性

前述の通り、公式からユーザや作品に対する思いが公言されることは基本的にありません。

では、ぼくたちユーザはどのような事象をもとに「公式がユーザや作品を大切に思っていない」と考えるのでしょうか。

もちろん状況によって理由も様々かと思いますが、その中でも下記のような内容が根拠として挙げられることが多い印象です。

・売上が低迷している
・サービス終了した(この場合は過去形(大切に思っていなかった)になります)
・ユーザに対する配慮がない
  →イベントに登場するキャラクターに偏りがある
  →イベントのペース配分がおかしい(多すぎる/少なすぎる)
  →ユーザからの意見が反映されていない(ようにみえる)

 

これらをざっくりまとめると、『ユーザの需要と公式の方針に乖離がある状況』になります。

つまり、公式とユーザ双方の意向にズレがある場合、ユーザは「公式がユーザや作品を大切にしていない」と思う可能性があるということです。

 

ぼくは、ここに認知バイアスが発生していると考えています。

『ユーザの需要と公式の方針に乖離がある状況』は、本当に公式が作品を大切に思っていないから発生しているのでしょうか。

ぼくは、これは単に『公式のマーケティングが上手くいっていない状態』だと思っています。

 

企業におけるマーケティングの事情

マーケティングとは、顧客のニーズを解明し価値を生み出すプロセスです。

ゲームアプリ市場にあてはめると、作品をどのように運営しどのような結果を目指すかという仕組み全体がマーケティングになります。

 

ゲームアプリの公式は企業であり、企業には予算や売上など様々な制約が存在します。

したがって、運営の方針やゴールは製作者の感情だけでは決められません

女性向けゲームアプリはキャラクターコンテンツとしての側面が強いため、もしかしたら他の市場よりは感情によるフォローが大きい可能性はあるかもしれません。

とはいえ、感情によって最終的な意思決定をするということは基本的にないと思われます。

 

つまり、『ユーザの需要と公式の方針に乖離がある状況』はあくまで『様々な事情(感情を含む)をもとに決定された内容がユーザの興味に合致していない状態』となります。

ここには、感情との直接の因果関係は存在しません。

もちろん、作品を大切に思っていないからマーケティングに力が入っていないというケースもあるとは思います。

しかし、だからといって『マーケティングが上手くいっていない=ユーザや作品を大切に思っていない』とするのは早計ではないかなと考える次第です。

 

『公式の感情』に対する『ユーザの感情』

言葉尻を捉えているだけのように見えることは、重々承知しております。

ですが、最初にお話しさせて頂いた通りぼくはマーケティングと公式の感情を関連付けることは作品の未来に対してもあまりいい影響を与えないと思っています。

理由は、以下の二点です。

 

①:作品に対する不満を増幅させる

人間が何かを判断するときは、肯定面よりも否定面に目が行きやすいと言われています。

『公式のマーケティングが上手くいっていない状態』自体は、ユーザに対して直接的な損害ではありません。

しかし、『公式がユーザを大切に思っていないこと』はユーザが作品の応援をやめる十分な理由になり得ます。

つまり、ここを切り分けておかないと『公式のマーケティングが上手くいっていない状態』がダイレクトにユーザに対する損害にもなってしまいます

 

応援している作品のマーケティングが上手くいっていない場合、本来であればユーザとしてもなんとか状況を好転させたいと考えます。

その場合に有効だと思われるユーザのアプローチとしては、より一層思いを伝えたり応援したりすること等が挙げられます。

しかし、これらのアプローチは否定的な感情を抱く相手に対して実施することは基本的に難しいです。

公式の感情が作品に対してネガティブだと決めつけてしまうことは、ユーザ側から状況を好転させるという一つの選択肢を潰してしまうことになるのではないでしょうか。

 

②:感情に答えはない

今回の結論的なお話になるのですが、他者の感情について考えることは答えのない問いになります。

なので、どんなに議論を重ねても正式な答えはわかりません。

そして前述の通り、人間は肯定面よりも否定面に目を向けやすいと言われています。

つまり、公式の活動と感情を紐づけて考える場合も悪い方向に印象付けてしまうことが多くなると考えられます。

相手に対して否定的な感情を持った場合の行動の変化については、①でお話させて頂いた通りとなります。

自分が応援したい作品に対して、不確定要素を元にあえて応援しない理由を探すのは意味もないし悲しいことです。

したがって、ぼく個人としてはそもそも感情を推察すること自体を避けてもいいんじゃないかなと考える次第です。

 

ぼくが考える『大切に思う』の定義

まとめると、他者(公式)の感情を読み解くことは難しいし悪いことの方が目につきやすいので、公式のアクションと公式の感情は切り離して感情についてはなるべく気にしない方がいいのではないかというお話でした。

 

と言いつつ、公式がユーザや作品を大切に思っているか気になるという気持ちは理解できるしぼくも知れるなら知りたいです。

というわけで、公式の感情について肯定的な観点でぼくなりに考えてみました。

『公式がユーザや作品を大切に思っていると思われるアクション』はどのようなものか、という妄想です。

ここから先は完全に主観なので、参考程度にお読み頂けますと嬉しいです。

 

ぼくは、公式が製作者として作品自体について話す機会が多い場合その作品に対する思い入れも強いのではないかと考えています。

心理学者アブラハム・マズローが提唱する『欲求5段階説』では、人間の欲求が5段階に理論化されています。

欲求5段階説
 第1段階:生理的欲求(生命の維持)
 第2段階:安全欲求(不慮の事故・事件に対する警戒)
 第3段階:社会的欲求(集団への帰属)
 第4段階:承認欲求(他者からの評価)
 第5段階:自己実現欲求(探求・創造性)

上記5段階の欲求は、第1段階から順に欲求が満たされれると次の段階へ向かっていくとされています。

ゲームアプリにあてはめると、作品を軌道に乗せて安定した運用をすることが恐らく第3段階あたりになるでしょうか。

その上で、製作者の方が「この作品をいろんな人に楽しんでもらいたい」「この作品でもっと何かができるのではないか」と考えたり発信したりするのが第4、第5段階だと思われます。

つまり、安定稼働に留まらずその先でさらに作品ができることを考え発信することは、それだけ作品に対して実現の欲求が高い=作品に思い入れがあると言えるのではないでしょうか。

もちろん、もっと前の段階でも作品に対する思い入れが強い製作者様はいらっしゃると思うので、運営状況の安定度は観点に含めずあくまで作品自体についての発信が多い場合とさせて頂いた次第です。

 

一方で、製作者が表に出てくることについてはあまり好まれない場合も多いです。

プロフェッショナルとして裏方でいるべきだ、という意見ですね。

こちらについては、ぼくも同意する部分もあります。

ですが、公式(製作者様)が作品の話をされる機会は公式の一番感情的な部分が垣間見える機会だとも思っています。

そして前述の通り、ユーザには公式の感情を可能ならば知りたいという気持ちが少なからずあります。

なので、ぼく個人としては然るべきタイミングでの実施であれば公式が作品についてお話される機会がどんどん増えてほしいなと思っている次第です。

 

感情は本人のみぞ知る

というわけで、今回のまとめです。

今回の考察におけるぼくの結論は、

マーケティングと公式の感情は切り離して考えた方が良い
・他者の感情は正確には読み解けない
・他者の感情について考える場合は自分自身のストレスを低減するためにも肯定的な観点で推察する方が建設的

です。

 

一番言いたかったことは、ユーザとして無駄にストレスを溜めすぎないようにしたいということです。 

ぼくは、ユーザである以上できるだけストレスフリーにゲームを楽しみたいと考えています。

キャラクターコンテンツ×ガチャという女性向けゲームアプリのモデルは、正直心理的に負担がかかる要素が少なくありません

だからこそ、せめて他の部分に関するストレスは低減して幸せにゲームで遊んでいたいなと考えている次第です。

 

というわけで、「できるだけ楽しくゲームで遊んでいたいよ~」というだけのお話でした。

ユーザとして長く女性向けゲームアプリ市場で楽しむための一案として、もし興味を持って頂けたならとても幸いです。

 

 

今回の記事に関連する内容として、『公式の感情に言及する意見がでてくる理由』についての動画を作成しました。

よろしければ併せてご覧頂けますと幸いです。

youtu.be