ユーザを熱狂させる女性向けゲームアプリの条件
こんにちは、椅子です。
前回、ゲームアプリが早期サービス終了しないためにはどうすればいいのかという記事を書きました(よろしければ併せてご覧頂けますと幸いです)。
この記事でのぼくの結論としては、
・ユーザはゲームアプリを単体ではなくプロジェクトの一部として捉え、他コンテンツごと応援していくことがゲームアプリそのものの寿命にも繋がっていく。
でした。
実際に運営とユーザの双方がこの意識を持つことで、ある程度は早期段階のサービス終了を防止できると思っています。
しかし、これはあくまで早期にサービスを終了させないための対策であり、多くのユーザを魅了し長寿のゲームとなるための条件ではありません。
というわけで、今回はこの先について考えてみます。
今のゲームアプリ市場において、早期サービス終了を回避した後、ユーザを熱中させ長期にわたって継続できるゲームアプリの条件とはどのようなものなのでしょうか。
ゲーム性の需要
いきなり結論ですが、ぼくは今のゲームアプリ市場でユーザを熱中させることができるゲームの条件は「ゲーム性があること」だと考えています。
ここでの「ゲーム性がある」とは、「多くのユーザがプレイそのものに魅力を感じることができる」とさせてください。
作業的なタップゲームではなく、リズムゲームやパズルゲームなどある程度プレイヤーがアクションを求められるゲームが該当します(もちろん作業的なゲームの方が好きな方もいらっしゃることは承知しております)。
言葉にすると当たり前っぽいですが、これは少し前までのゲームアプリ市場の需要から大きく変化したように思います。
ゲームアプリ黎明期では、タイトルの絶対数が少なかったということもあり、各タイトルのゲーム性が個性としてフィーチャーされていました。
しかし、黎明期が終わりタイトル数が増加し始めると、「ながらプレイ」ができるゲームにスポットがあたり始めました。
理由は、複数のゲームを並行してプレイするスタイルのユーザが増えたためです。
複数のゲームを同時期に楽しむには様々な隙間時間を縫ってゲームをプレイする必要があり、新規ゲームには負担にならないゲーム性が求められたのです。
これが少し前までのゲームアプリ市場です。
そして現在。
ゲームアプリのタイトル数は爆発的に増え続け、最早興味があるタイトルだけに絞っても全てプレイすることは時間的に難しいという状況となりました。
また、インスタントな娯楽はゲームだけに留まらず、今やスマホがあればわずかな空き時間で映画も観れるし漫画も読めます。
そんな中から一つのゲームをユーザに選んでもらうためには、ユーザがそのゲームに割く時間に対して今まで以上の価値を提供しなければなりません。
つまり、ゲームをプレイすることそのもの(=ゲーム性)の需要が上がり始めたのです。
補足として、女性向けゲームアプリの多くは世界観(設定やストーリーなど)とゲーム性の2つの要素から構成されますが、ゲーム性が並でも世界観が良ければユーザに選ばれる、というのは今は成り立たない思っています。
もちろんストーリーが素晴らしいゲームはたくさんあるのですが、基本的にゲームアプリの世界観を楽しむためにはそのゲームをプレイする必要があります。
ストーリーを読むため等にも結局ゲームのプレイに時間を割く必要はあり、上記の通り時間の取り合いが活性化したことから、結果としてゲーム性の魅力が必須になると考える次第です。
以上の理由から、繰り返しになりますが、ぼくは今の市場でユーザを熱中させることができるゲームアプリの条件は「ゲーム性があること」だと思っています。
これと前回の記事で考察したサービス終了の回避策とを併せると、現在のゲームアプリ市場においてサービスが継続し尚且つさらなる発展も望めるゲームの条件は、
発展の条件:一定以上のゲーム性がある
ということになります。
実際に、現在の女性向けゲームアプリ売上ランキング上位のゲームを具体例にみてみます。
上位ゲームの特徴
これは2020年5月24日時点の女性向けゲームアプリ売上ランキング上位5位です。
各ゲームごとにイベント期間なども異なるため瞬間売上高だけで判断するのは少しナンセンスですが、少なくともこれらのゲームは現在の市場でユーザを獲得しているゲームと言えるでしょう。
これらのゲームに、本当に前述の条件(信頼性・ゲーム性)が当てはまるかをみてみます。
1.ディズニー ツイステッドワンダーランド
2020年3月18日にリリースされ瞬く間にトップにまで躍り出た、今最も市場を賑わせているタイトルです。
この爆発的な流行の最も大きな要因は、圧倒的な信頼性ではないでしょうか。
ウォルト・ディズニー・ジャパン協力により公式的にディズニーヴィランズを題材とし、その世界を人気漫画家の枢やな氏が描くというスタッフィングは、信頼性の高い題材×信頼性の高いライター・デザイナーというトンデモ掛け算です。
これにより、従来のゲームファンに留まらずディズニーファン、漫画・アニメファン層も取り込み近年稀にみる急成長を実現したと考えられます。
ゲーム性においても、ある程度戦略性のあるバトルゲームに加えてリズムゲームが搭載されており、幅広いユーザが楽しめるようになっています。
今後注目すべきは、前述の通り他のゲームに比べて従来のゲームアプリユーザ以外の層も多くプレイしているという点です。
新規に獲得した層に対してゲームアプリとしてどのようにアプローチしていくのか、展開が非常に楽しみです。
2.あんさんぶるスターズ!!Music
ゲーム性:リズムゲーム
2020年3月15日にリリースされた、ご存知『あんスタ』のリズムゲームです。
信頼性については、女性向けゲームアプリ黎明期(2013-2015年頃とします)から現在まで市場を牽引し続けている『あんスタ』の継続性で十分すぎるかと思います。
ゲーム性については、従来の『あんスタ』のタップゲームからリズムゲームとなり、飛躍的な変化を遂げました。
さらに、一度ゲームに区切りがついたことで新しく始めることの敷居が下がり、新規ユーザの獲得に繋がったこともプロジェクト躍進の一因かと思われます。
話は逸れますが、従来の『あんスタ』に近しいスタイルのゲームも『あんさんぶるスターズ!!Basic』(売上高ランキング6位)として引き続き運営されています。
BasicとMusicをある程度自由に行き来できるなどもっと連動が進めば、双方のユーザ数の更なる増加につながったりするのかもしれません。
3.魔法使いの約束
2019年11月25日にリリースされた、株式会社colyの新規タイトルです。
株式会社coly自体は、既に『スタンドマイヒーローズ』や『オンエア!』など知名度のあるゲームを複数運営しており実績のある会社です。
さらに、シナリオライターとしてゲームアプリユーザには『アイドリッシュセブン』のシナリオなどでお馴染みの都志見文太氏が起用されており、信頼性は十分と言えるでしょう。
ゲーム性については、やり込み要素満載ながらオート機能を搭載した育成ゲームが主となっており、ヘビーユーザとライトユーザが見事に共存しています。
また、リリース当初からメインストーリーの第1部が完結まで公開されている他ログイン時や育成中にも新規ストーリーが多分に発生し、世界観の作り込みという面でも高く評価されています。
4.ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-
2020年3月26日にリリースされた、これまたご存知『ヒプノシスマイク』のゲームコンテンツです。
音楽プロジェクトとして発足し、CD展開やライブで名を馳せたヒプノシスマイクが満を持してリリースしたゲームとあって、信頼性は十分かと思います。
また、元々がゲームプロジェクトではないため、ゲームの継続性に対する期待感も他タイトルよりは絶対的ではないのかもしれません。
ゲーム性については言わずもがな、リズムゲームであり従来の楽曲ファンも楽しめるものとなっております。
ゲームがリリースされたことで、今後は新規楽曲をリリースする度にメインのCDコンテンツもゲームも盛り上げることができ、プロジェクトのさらなる活性化が見込まれるでしょう。
5.A3!
ゲーム性:
2017年1月27日にリリースされた、女性向けゲームアプリ第2世代(ぼくが勝手に呼んでるだけです)の筆頭タイトルです。
リリースから3年が経過しましたが、今尚舞台など多方面への展開で盛り上がりを見せており、自身の継続性を以て信頼性は担保されています。
ゲーム性については、分類はタップゲームであり、あまり特出していないのが現状かなと思います。
上記4タイトルのような新進気鋭のゲームに対し、今後どのような対抗をみせてくれるのか非常に期待が高まります。
今後求められるゲーム性とは
以上が、ゲームアプリ市場上位の現状となります。
もちろん取得日によって順位は変わるので若干結果論ではありますが、少なくとも現在の女性向けゲームアプリ市場で上位のゲームには信頼性とゲーム性が備わってるものが多いと言えるでしょう。
女性向けゲームアプリはノベルゲームの側面が強いものが多く、今まではゲーム性一辺倒になることはあまりありませんでした。
しかし、近年では機器の性能も向上し、コンシューマ機でもスマホでも様々なゲームが楽しめます。
従来のゲームアプリユーザも様々なゲームに触れる機会が増え、ユーザ側のゲーム性に対するハードルはかなり上がっているのではないでしょうか。
もちろん、ストーリー性に対する需要は変わらず存在します。
しかし、ストーリー性とゲーム性は決してトレードオフではないはずです。
この時代の変革期を好機と捉え、とことんゲーム性にこだわった女性向けゲームアプリが登場し市場に一石を投じる、なんてこともあるかもしれません。
そんなことを考えながら最近はコンシューマゲームでもよく遊んでいます。
オタクなのでマイデザインが楽しいです。