次世代の女性向けゲームアプリはどのように進化していくのか『女性向けゲームアプリ3.0』
こんにちは、椅子です。
今回は、次世代の女性向けゲームアプリについての予想(と妄想)を書きたいと思います。
先日、下記の記事で今後のゲームアプリ市場についての大まかな流れを考察しました。
(よろしければ併せてご覧頂けますと幸いです。)
この記事でのぼくの結論は、
・絶対的な価値観はあらゆる面で一律ではないのでゲームアプリ市場はより多様化される
でした。
まとめると、『今後のゲームアプリ市場は今まで以上に様々な方向に発展していくと思われる』という感じです。
今回は、これをもう少し発展させたいと思います。
女性向けゲームアプリ市場では、これまでにも様々な変革があったかと思います。
しかし、記事のタイトルで次世代を『3.0』とさせて頂いております通り、ぼくは現在のゲーム市場は『2.0』、つまり黎明期から一段階だけ変化した状態だと思っています。
もちろんこれは、これはネガティブな意見ではありません。
この2.0への変化はゲームアプリ市場に非常に大きな影響を与え、それゆえに一段階の変化にも関わらずゲームアプリは今日まで発展することができたのではないかという意味になります。
そしてこの度、上記の通りゲームアプリ市場は今まで以上に様々な方向に発展していく、つまり二度目の変化に向かうのではないかと妄想を膨らませた次第です。
というわけで今回は、ぼくが考える女性向けゲームアプリ1.0及び2.0の定義についてご説明させて頂くとともに、3.0の市場に登場すると考えられる具体的な変化について考察したいと思います。
毎度ながら、一ゲームアプリユーザの妄想としてお読み頂けますと幸いです。
ゲームアプリ市場の変遷
というわけで、まずはこれまでの女性向けゲームアプリ市場の変遷をたどってみます。
市場の成長パターンはPLC(Product Life Cycle)と呼ばれ、『導入期』『成長期』『成熟期』『飽和期』『衰退期』の5つのステージがあると言われています。
市場が生まれ、拡大し、やがて衰退していくという一般的なプロセスです。
では、現在の女性向けゲームアプリ市場はどのステージにあたるのでしょうか。
ぼくは、現在の市場はPLCにおける『成熟期』『飽和期』だと思っています。
しかし同時に、女性向けゲームアプリ市場はここからもう一度『成長期』を迎える可能性もあるのではないかとも考えています。
理由は、2.0になった一度目の『成長期』の特徴にあります。
というわけで、順番にご説明させて頂きます。
女性向けゲームアプリ1.0
1.0は、言葉の通り黎明期から2.0までの期間を指しています。
※本ブログでは度々『女性向けゲームアプリ黎明期』という括りを使用しますが、女性向けゲームアプリがリリースされ始めた2013年から現在も続くビッグタイトル群がリリースされた2015年ごろまでを黎明期とさせて頂いております。
これは、PLCにおける『導入期』になります。
ゲームアプリに限らない話ですが、初期段階の市場では主にメインコンテンツの理解や他者に対する優位性が重要視されます。
この時期は、作品数も少なく公式もユーザもまだ手探りの状態です。
したがって、公式とユーザそれぞれの視点でゲームアプリとはなにかを模索しながら市場が展開されていきます。
具体的には、様々なシステムのゲームが登場したりユーザビリティの整備が行われるのがこの時期になります。
つまり、ぼくが定義させて頂いた女性向けゲームアプリ1.0とは『現在のゲームアプリの基礎的な部分を模索・構築している段階』になります。
それでは、その後どのような変化をきっかけに2.0へと変化したのでしょうか。
女性向けゲームアプリ2.0
ぼくが定義する女性向けゲームアプリ2.0は、『ゲームアプリ+商品(有形・無形)』です。
『導入期』がある程度続くと、サービス提供者とユーザは市場についての基本的な知見を得ます。
この段階になると、市場では差別化やより細分化されたニーズに合わせた商品の登場が求められます。
これが、PLCにおける『成長期』です。
では、ゲームアプリ市場ではこの『成長期』にどのような変化が起こったのでしょうか。
もちろんゲームアプリ市場も例にもれず、公式とユーザはある程度理想と思われるゲームアプリ像についての知見を得たと思われます。
そして、それを軸として既存の作品はより洗練され、また新たな作品も次々と登場しました。
しかし、それと並行してこのタイミングでもう一つ大きな変革があったとぼくは考えています。
それは、ゲームアプリ本体以外の価値の付与です。
一番わかりやすいのはグッズかと思います。
アクリル製品や缶バッジなどのグッズは今でこそゲームアプリとは切っても切れない存在ですが、黎明期は数もそこまで多くありませんでした。
正確な年月は少し曖昧ですが、2016年終盤から2017年頭頃にかけてグッズが大量に発売されるようになったと記憶しています。
ゲームのリリース前にオンリーショップやコラボカフェが開催されたり、クレーンゲームに長蛇の列が形成され『獲得保証台』なるものが物議を醸したことを覚えてらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
(ぼくはクレーンのゲーム性がとても好きなのでクレーンのプレイが制限された当時は大騒ぎしてました)
取ったプライズ全部差し上げるのでクレーンの部分をもっとやらせてくれって叫んでる。
— 椅子 (@sleep_chair) 2017年3月16日
ぼくは、この変化こそが女性向けゲームアプリ2.0だと考えています。
つまりゲームアプリ市場の『成長期』には、『ゲームアプリそのものの多様化』という成長に加えて『ゲームアプリに新たな価値を組み合わせる』という成長があったのではないでしょうか。
鋭い方はもうお気づきかと思いますが、もちろん新たに付与された価値はグッズだけではありません。
楽曲、ライブ、舞台、ラジオなど様々なコンテンツが付加価値として登場しました。
その後、成長期に登場した付加価値は洗練され、現在では付加価値による作品ごとの差別化は難しくなったように思われます。
グッズなら缶バッジ・アクリル・ぬいぐるみ、イベントならライブ・舞台・コラボカフェなど、付加価値は現在ほとんどの作品で共通しています。
これが、ぼくが現状のゲームアプリ2.0は『成長期』を経て『成熟期』『飽和期』に突入していると考えている理由です。
そして、ぼくが女性向けゲームアプリ市場はもう一度『成長期』を迎え3.0になると妄想している理由もこの付加価値にあります。
ぼくは、今後女性向けゲームアプリ市場では今までとは異なる観点の付加価値が登場すると考えています。
新たな付加価値が登場すれば、もちろん次はそれらの『成長期』が始まります。
これを、女性向けゲームアプリ3.0と定義させて頂いた次第です。
まとめるとこんな感じになります。
2.0ではゲームアプリ以外の様々な価値が付与された
2.0で登場した付加価値による差別化が難しくなってきたから
今後登場する付加価値は今までとは異なる新たな付加価値のため再びそれらの『成長期』が始まるから
では、今後登場する付加価値は今までとはなにが異なるのでしょうか。
具体的な価値を予想する前に、現在のユーザや市場の状況を考えてみます。
現在のゲームアプリ市場及びユーザの状況について
ゲームアプリ市場に関連する現在の状況について、ぼくは主に下記の3つの特徴があると考えています。
したがって、3.0で登場する新たな付加価値はこれらが考慮されている可能性が高いと思われます。
無料コンテンツの台頭
別の記事でも書いたことがありますが、現在は娯楽供給過多の時代です。
その中でも特筆すべきは、昨今急増している無料コンテンツではないでしょうか。
上記の通り2.0の段階では新たな付加価値が登場しましたが、これらは基本的には有料(ユーザに金銭的負担があるもの)になります。
もちろん有料だったものを無料で提供するのは企業としては難しいと思いますが、『ユーザ目線では無料』というコンテンツの展開は意識され始めるのではないでしょうか。
作品固有の商品・イベント
2.0の現状を『成熟期』『飽和期』と表現させて頂いた通り、現在の市場では2.0で追加された付加価値が洗練された結果クオリティが各作品でほぼ一様になってきています。
ライブを例にすると、もちろん作品ごとのオリジナリティや良いところはたくさんありますが、『ゲームアプリのライブ』という観点ではどのライブも一定のレベルに到達しており大きな差異はほとんど存在しない、という感じです。
前述の通り、PLCの『成長期』では差別化やより細分化された需要が重要視されます。
もし再度の『成長期』となるのであれば、今度は2.0で追加された付加価値がより細分化される可能性は高いと思われます。
『缶バッジ』や『ライブ』と並列するレイヤーで、作品固有の商品が出てくることも考えられるのではないでしょうか。
既存ユーザに対する特別感の付与
上記2つとは少し観点が異なります。
ぼくは、今後の市場では既存ユーザに特別感を感じさせる動きがあると考えています。
理由は、ユーザ離れを防ぐためです。
今後のゲームアプリ市場におけるユーザ離れは、下記2つの原因で発生すると考えられます。
1つ目の原因は、退屈感です。
上記の通り、現在は2.0の市場が長期間継続している状況です。
人は、感覚や刺激に変化が与えられない場合、退屈を感じると言われています。
このまま変化がないと次第にユーザは別のものへと関心を持つようになり、市場はPLCの『衰退期』に突入してしまうかもしれません。
2つ目は、スノッブ効果による需要の減少です。
経済学では、他人とは違うものが欲しいという心理によって『簡単に入手できないもの』ほど需要が増加し『誰もが簡単に入手できるようなもの』は需要が減少すると言われています。
この『商品の消費が拡大すると購買意欲が低下する効果』のことをスノッブ効果と言います。
例としては、「応援していたインディーズバンドがメジャーデビューしたら急に熱が冷めてしまった」などでしょうか。
長期間サービスが継続している作品では、既存ユーザにこのスノッブ効果が表れる可能性があります。
スノッブ効果の対応策としては、更なる希少性を用意することで商品に対するモチベーションを維持するなどが挙げられます。
上記2点の対応という観点でも、女性向けゲームアプリ3.0の市場では既存ユーザに特別感を感じさせる動きがあるのではないかと考える次第です。
女性向けゲームアプリ3.0で具体的に出てくると考えられる付加価値
それでは、ようやくですがぼくが女性向けゲームアプリ3.0で登場すると考えている新たな付加価値について、ご紹介させて頂きます。
あくまで妄想による一例となりますので、「それはどうなんだ」や「他にこういうのもあるのでは」等の意見はぜひお待ちしております。
配信コンテンツ
『ユーザにとって無料のコンテンツ』の観点でまず挙げられるのは、動画や音声の配信コンテンツではないでしょうか。
ユーザは無料(またはチップ制)ですが公式は収益を確保できる可能性があるため、非常に理にかなっています。
既に定期的な生放送などを実施している作品も複数ありますが、今後はより標準化される可能性があると考えられます。
ユーザという観点では、外出自粛によって視聴者側の配信コンテンツに対するハードルが下がったのも追い風に感じます。
難点としては、現在の配信コンテンツはキャラクターの担当声優さんが必須の場合が多く、頻度の向上が難しいことでしょうか。
この辺りには思うところがあるのですが、今回は割愛させて頂きます(いつか記事を書きます)。
難易度はおいておいて、個人的に今一番アツいと思っているのはキャラクターによる配信です。
キャラクターとコミュニケーションを取りキャラクターの存在を感じることができるのは、ユーザにとって最も高い価値の一つではないでしょうか。
既にゲームはサービス終了してしまっている『Readyyy!』が、2019年頭頃にShowroomでキャラクターによるライブ配信を実施されていました。
本当にただ時代が追い付いてなかった…今こそこれだと思うんですよぼくは…。
ReadyyyさんのShowroom展開という先見の明があり過ぎた一手を忘れたくない。
— 椅子 (@sleep_chair) 2021年4月26日
サブスクリプションサービス
既にいくつかのアプリでは、ゲーム内アイテム等のサブスクリプションが実装されています。
こちらについても、今後標準化される可能性は高いのではないでしょうか。
また、アイテム以外に適用される可能性も十分にあると思います。
『毎月限定スチルや限定シナリオなどが公開されるサブスクリプションパック』などが出てきたら個人的にはとても面白いです。
もっと極端に考えるなら、月額制のゲームとかですかね。
基本プレイ無料から退化してるような気もしますが、サブスクリプションが流行っているという実情を考えると無いこともないかもしれないなと思っています。思っているだけです。
コミュニティ化
上記サブスクリプションサービスを、ゲーム以外のコンテンツに適用する場合はコミュニティ化になると考えています。
これは、観点の項目で述べた『既存ユーザに特別感を与える』に該当する付加価値です。
YouTubeのメンバーシップやPixivFANBOX等、ユーザのコミュニティ化は非常に身近なものとなりました。
ゲームアプリにおいても、情報の先行公開やメンバー限定イベント等コミュニティ化によって新たな付加価値が提供される可能性はあるのではないでしょうか。
前例があまりない店舗・商品とのコラボ
こちらは、『固有の商品・イベント』の観点となります。
2018年にサービス終了してしまった『カクテル王子』が、実際のバーとのコラボを開催されていました。
ぼくも2回ほどお邪魔させて頂いたのですが、他の作品のコラボではもちろん、そもそもバーに入ること自体ほとんど経験がなかったのでとても楽しかった記憶があります。
『その作品だからこそ』のコラボが増えると、差別化の観点だけではなくユーザとして作品に関連する体験ができる機会が増えるので面白いのではないかなと考える次第です。
どこまでも成長し続けてくれ
というわけで、長くなりましたがまとめです。
今回の考察におけるぼくの結論は、
・新たな展開では『新しい付加価値』が登場し市場がさらに多様化すると思われる
です。
一番言いたかったことは、女性向けゲームアプリは今後も新たな進化をみせてくれる可能性があるということです。
ぼくは、自分がプレイしている作品の世界観やゲームシステムはもちろん大好きです。
しかし、それと同じくらい新しいコンテンツの展開やトンチキ(失礼)なコラボが発表されたときにもワクワクを感じます。
新たな可能性を魅せ続けてくれるとても素敵な女性向けゲームアプリ市場を今後も応援させて頂きたい、というところで今回は結びとさせて頂きます。
何か面白展開をしている作品などございましたら、是非ご教示頂けますととても嬉しいです。
今回の記事に関連する内容として、『今後ニッチなコラボが増える理由』についての動画を作成しました。
よろしければ併せてご覧頂けますと幸いです。