椅子置き場

女性向けゲームアプリについての考察その他

次世代女性向けゲームアプリで『すごろく』が覇権を握る7つの理由とほんの少しの真面目な話

椅子です。相も変わらずゲームアプリをやってます。

 

ゲームアプリ市場はここ2,3年で完全に群雄割拠の時代に突入しました。

膨大な数のゲームの誕生と死が猛スピードで繰り返される今、サービス終了に対する恐怖がより顕著になってきたように感じます。

 

新しいゲームが発表されると必ず「これは厳しいでしょ」「これは流行らなさそう」などの声を耳にします。

発言者は決してそのゲームを貶めたいわけではありません。

あまりにも多くのゲームの死を目の当たりにし過ぎた結果、誕生する前から死について考えざるを得なくなってしまったのです。

常に死を隣に感じ、安住の地を求めて彷徨い続ける。

これはもはや現代ゲームアプリユーザの生存本能です。

 

今やゲームが長続きするかどうかは、新しくゲームを始める上で最も重要な要因になり上がったと言っても過言ではないでしょう。

 

では、長続きするゲームとは一体どのようなゲームなのでしょうか。

 

 

ゲーム性のパラドックス

女性向けゲームアプリは、世界観(ストーリーやキャラクター)ゲーム性の二つの要素から構成されます。

どのゲームも世界観についてはよく宣伝している一方で、ゲーム性についてはリリース直前までほとんど触れられません(最近ではリリースされるまでわからないなんてこともあります)。

しかし、世界観の情報だけではユーザはそのゲームを長く続けられるかどうか判断できません。

自分が何をするゲームなのかを理解(または実際にプレイ)して、初めてそのゲームを続けるかどうかを判断できます。

つまり、ゲームに興味を持つきっかけとなるのは世界観ですが、ゲームを長く続けられるかどうかを決めるのはゲーム性なのです。

 

では、ユーザに長く続けられると思わせるゲーム性とはなにか。

ことゲームアプリに関しては、如何に生活の邪魔をしないかではないでしょうか。

ゲームアプリは、『自由な時間』で『一日に複数回』プレイする人が多い形式のゲームです。

プレイヤーが求めるのは時間を忘れてのめり込むような特別な体験ではなく、少しの目的と楽しさがある小休止なのです。

 

自由な時間というのは、簡単に見えて実は非常に難しいです。

プレイヤーによって長さも頻度も異なるため、各プレイヤーごとの自由な時間を詳細に特定することは困難です。

つまり、プレイヤーごとに断続的に発生する自由な時間に、ゲームのことを思い出してもらわなくてはならないのです。

これは、区切りはつけやすい何度もプレイしたくなるというパラドックスを要求されることになります。

 

また、今はスマホで何でもできる時代です。

わずかな空き時間で映画も観れるし漫画も読める。

そんな中でゲームを選んでもらうためには、『飽き』を発生させないことが非常に大切です。

『飽き』とは行動によって得られる対価に価値を感じなくなることです。

これはゲームのクリア報酬などに限らず、『プレイそのもの』に対しても当てはまります。

今やパズルや音ゲーなど、プレイそのものに魅力を感じることができるゲームがどんどん増えています。

いわゆるポチゲーと呼ばれるような単調な作業は、目の肥えたユーザにはもはやゲームと認識されない可能性すらあります

しかし、複雑にすれば良いというわけではありません。

前述の通り、ゲームアプリは自由な時間にプレイする方が多いです。

そのため極端に複雑なゲームや高難易度のゲームは、今度は習熟が追い付かず『飽き』られてしまうことがあるのです。

 

まとめるとユーザに長続きすると思わせるゲーム性は、

  1. 任意の時間で区切りをつけられる続きがプレイしたくなる
  2. プレイそのものに一定の価値がある過度にスキルを要求されない

という二つのパラドックスを抱えていることになります。

 

 

すごろくといふもの

先日、フォロワーさんにお薦めされて『快感フレーズCLIMAX -NEXT GENERATION-』(以降快クラ)というアプリをプレイしました。

kaikan-project.com

 

快クラのメインのゲームはすごろくです。

サイコロを振って出た目の数キャラを進め、止まったコマによってアイテムを入手したりイベントが発生したりします。

数日間サイコロをころころしてたぼくは、とあることに気づきました。

 

すごろくこそが、ユーザに長続きすると思わせることができるゲームなのではないでしょうか。

 

サイコロを振ってコマを進めるというアクションには、『技術は要求されない』が『自分で道を選べる楽しさ』があります。

また、1アクションの単位が『サイコロを振ってコマを進める』と非常に短く、遊ぶ時間のコントロールも容易です。

 

もっとすごろくのことが知りたくなたぼくは、すぐさまインターネットで調査を開始し次のものを用意しました。

 

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つくえがきたない
  1. 物理すごろく(たのしいすごろくランド)
  2. お寿司(一人前)

 

先ずはすごろくです。

生まれて初めてすごろくを購入しました。

この本を選んだ理由は、『いろんなおもしろテーマがたっぷりある』ことと、『コミュニケーション力が身につく』ことからです(全部表紙にかいてあります)。

 

そしてお寿司です。

すごろくについて全くの無知だったのでTwitterで検索した(オタクなので)ところ、次のツイートがヒットしました。

 

驚愕しました。

恐らく今は、ボードゲームをやるときにお寿司を食べるのが当たり前なのです

老若男女問わず人が集まり、それが66回も続いていることが何よりの証拠です。

 

というわけで、モノは揃いました。

 

ぼくはお寿司を片手に必死ですごろくを楽しみました。

そしてついに、すごろくがゲームアプリに、ひいては現代の女性向けゲームアプリに適したゲーム性であることを確信したのです

 

 

女性向けゲームアプリに『すごろく』が適している7つの理由

1.遊び方のレベルを自分で決めることができる

すごろくにおける最小単位のアクションは、『サイコロを振り出た目の数だけコマを進める』ことです。

非常にシンプルですが、すごろくの素晴らしいところはこれが保証されているという点です。

例えば、サイコロを振る回数や盤面の分岐などについて考えることで、ゲームに更なる深みを与えることはできます。

しかし、どのプレイヤーも最終的にやることは『サイコロを振り出た目の数だけコマを進める』ことだけなのです。

サイコロの振り方やコマの進め方に技術の差は発生しません(物理すごろくの場合はあるかもしれません)。

つまり、最低限の楽しみを保証されつつ自分の匙加減でゲームの思考レベルを設定することができます

多くのユーザが公平に遊べることは、ゲームアプリとしてこの上ない強みとなるのではないでしょうか。

 

2.プレイヤーサポートアイテムがわかりやすい

技術や運が絡むゲームでは、プレイヤーの作業をサポートしてくれる『お助けアイテム』が実装されていることが多いです。

パズルゲームでいうところの、スタート時にボムを配置したり時間を増加したりするアレです。

しかし、このお助けアイテムが全く機能せず逆にストレスになった、という経験はないでしょうか。

上記のパズルゲームのボム配置を例にすると、盤面のものすごく端の方に配置されて特に何の意味もなかった、みたいなケースです。

これは誰しも心当たりがあるほど頻発する事象であり、運の要素が複雑なゲームほど発生しやすくなります。

 

すごろくにある運の要素は『サイコロの出目』のみです。

もう少し噛み砕くと、運、つまりプレイヤーの手を離れているのはなんの数字がでるかわからない(どこに行けるかわからない)という部分のみです。

これに対するサポートは非常に簡単で、『出る数字を決めることができる』、もしくは『好きな場所に行ける』権利を提供することで解決します。

例としては、出目が決まってるサイコロとかワープですね。

 

運を根本的に解決できていないことが多いサポートアイテムですが、すごろくに関してはその心配はなさそうです。

 

3.拡張性が高い

ゲームアプリは常にアップデートを要求されるコンテンツです。

しかもちょっとしたギミックの変更や追加だけでは、ユーザからあまり変わっていないと酷評されることも多々あります。

 

すごろくを構成する要素は『盤面』と『サイコロ』と『コマ』です。

これらは全て、非常にカスタマイズ性が高くバリエーションも豊富です。

全要素の拡張性が高いことは、常に変化を求められるゲームアプリの需要に非常にマッチしているのではないでしょうか。

 

4.競合が少ない

新しくリリースされるゲームは、必ず同じタイプの既存ゲームと比較されます。

そして昨今の供給過多も相まって、「慣れ親しんだゲームより新しいほうがいい!」という思考にはなりづらいのが現状です。

 

ぼくが知らないだけかもしれませんが、すごろくがメインの女性向けゲームアプリは今回プレイした快クラが初めてでした。

どんなジャンルでも、黎明期のコンテンツには一定の強さがあります

『すごろくゲー』というゲームアプリジャンルの黎明期コンテンツになれるのは、今なのかもしれません。

 

5.一つ一つのマスにドラマがある

女性向けゲームアプリユーザは非常に連想力に長けた生物です。

どんな僅かな情報でも見逃さず、自分の望む形で解釈し、無限に妄想を生み出します

 

例えばパズルのピースにはほぼ情報がなく、興奮することは難しいという方が大半だと思います(世界は広いのでできる方もいらっしゃると思います)。

では、すごろくの盤面(マス)はどうでしょうか。

マスには多かれ少なかれ必ず情報が存在します。

つまり、すごろくの盤面は女性向けゲームアプリユーザにとって宝の山なのです。

 

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ぼくはこのマスで2時間ほど「弟と特殊なお馬さんごっこをする」妄想をしました

 

6.前向きになれる

ゲームアプリは、日常生活に疲れた人たちの心の拠り所です。

それなのに、ゲーム内で失敗LOSEなどと敗北者のレッテルを貼られた経験はないでしょうか。

それはもう耐え難い苦痛を感じたことでしょう。

 

一人用すごろくには失敗や敗北はありません

目の前には常に道が広がっています。

すごろくは行動の全てをただ受け入れてくれる世界であり、そこには優劣も善悪も存在しません

さらに、すごろくは毎回必ずダイスを振ります。振れます。

どんな困難に直面しても、確実に一歩前へ踏み出せることを教えてくれるのです。

 

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快クラのすごろくは後ろにも進めます

 

7.おいしい

前述の通り、すごろくをする時はお寿司を食べる必要があります。

ゲームアプリのすごろくをプレイする場合でも、これは例外ではありません。

つまり、ゲームアプリに『味覚』という新たな価値を付加することができるのです。

これは革命です。

ゲームを感じる感覚が一つ増えるのです。振動パックの登場みたいなものです。

もちろん、『推しネタ』や『推し店舗』の概念が台頭してくれば、ユーザ同士のコミュニケーションも掛け算式に活性化していくことでしょう

 

 

『すごろく』の課題と注意点

以上のことから、すごろくは恐らく次世代女性向けゲームアプリで覇権を握るでしょう。

しかし、すごろくはその全てが素晴らしくて完全なわけではありません。

 

1.運に左右され過ぎる場合も

前述の通り、すごろくのアクションは『サイコロを振り出た目の数だけコマを進める』のみです。

これに対して技術は要求されませんが、裏を返せば技術ではどうすることもできません

この問題の暫定対応としては、前例に倣ってプレイヤーサポートアイテムによる補助の作り込みになるのかなと思います。(他ゲームと比較したサポートアイテムの優位性は前述の通りです)

 

2.コミュニケーション力は身につかない

ぼくが購入した物理すごろく(たのしいすごろくランド)には、『コミュニケーション力が身につく』との記載がありました。

しかし、ぼくはここ一週間ほど毎日すごろくをしていますが、特にコミュニケーション力は変わっていません

恐らくですが、これは複数人で遊んだ場合に会話等を通して成長する可能性があるということではないかと思っています。

アプリは基本的に一人でプレイすることになるため、コミュニケーション力の向上は期待できないかもしれません。

 

3.長時間遊ぶとお寿司が足りなくなる

繰り返しになりますが、すごろくをする時は必ずお寿司を食べなければなりません

つまり、遊ぶ時間に比例した量のお寿司が必要になります。

一応ちょっとずつ食べることで引き延ばしなどは可能ですが、予め大量のお寿司のストックを用意しておくことをおすすめします。

 

 

女性向けゲームアプリの未来

ちょっとだけ真面目なことを書きます。

そもそも本記事での『覇権』の定義とは、あくまでも現在の市場における刹那的な覇権になります。

今、女性向けゲームアプリ市場は完全に飽和状態です。

このまま次のフェーズへ移行できなければ、現在の市場を食い尽くして確実に衰退します。

 

ぼくは身の程知らずなので、ぼくたちユーザになにかできることはないのだろうか、などと考えることがあります。

安全圏からの調子のいい悩みです。

でもぼくはゲームアプリが大好きです。

ゲームアプリに終わってほしくないのです。

課金をすればいいよと散々言われました。

はたしてそれは本当なのでしょうか。

いくらお金が集まればいいのでしょうか。

ぼくの課金はどれくらい役に立っているのでしょうか。

今の時代にお金でお金を支払うことが、本当に一番効率がいいのでしょうか

 

未だに製作側とユーザの間の壁が厚いコンテンツだなと感じることがあります。

インフルエンサー時代にも完全に乗り遅れており、N:Nが可能になりつつある今の時代に1:Nすらまともに機能していません

壁を作っているのが製作側なのかユーザなのかはわかりません。

ですが、もうそれぞれの壁の中でできることはやりつくしているような気がしてならないのです。

本当にぼくたちは、今まで通り課金をしていればいいのでしょうか。

ぼくたちユーザも、新しいアプローチを模索する必要があるのかもしれません。

 

 

そんなことを考えながら、今日もゲームアプリで遊びます。

ゲームは楽しいですね。